「発想法」 KJ法のワークショップ

10月16日(土)の「人間中心デザインのための発想法」では、再び専修大学の上平先生にご担当いただき、「KJ法による発想ワークショップ」を行いました。KJ法は、日本国内では多くの人が知っている方法だと思います。文化人類学者の川喜田二郎氏によって開発された方法で、『発想法』という本で紹介されたものです。

データを単位化していきます。丁寧に書くのがコツ。

KJ法は、広く知られて実践されている割に、本当の意義や実践方法をちゃんと学んだ人はほとんどいません。KJ法はもっと深い知見を発見でき、アイディア発想の原点となるのに、正しい方法で行われていないから、とても勿体ないことになっているわけです。上平先生によると、KJ法の落とし穴は以下のような点があります。

  • データを整理すること自体が目的化しやすい。
  • 変換が繰り返されるが、方法(手順と考え方)が悪いと、 逆に情報が劣化していく。
  • 思考を向けるためのコツを掴まないと、行き止まり、結局仮説生成はされない。

ワークショップでは、「社会人にうれしい学びの場とは?」というテーマで、KJ法を行いました。まず、このテーマのデータを収集するために、5つのグループにわかれてワールドカフェを行いました。ワールドカフェを行うことで、基本的には5つのグループそれぞれにほぼ同じ内容の情報を得られることになります。そうなると、KJ法の仕方の違いがを比較できるわけですね。

集めたデータを単位化し、ポストイットに書いていきます。この時適当に書かないのが重要です。単語だけ書くのではなく、1週間後そのポストイットを見ても意味がわかるように書くことが大事です。

単位化したポストイットをグルーピングしていきます。

その後、グループ化して概念化していきます。各チーム70枚~80枚くらいのカードができているので、なかなか大変。

模造紙を切ってもいいんです

グルーピングした模造紙は、切ってもいいんです。いや上平先生は、「KJ法は、ハサミとノリを使うものです」とのこと。なるほど。。。

今回、5時間のワークショップの時間の間では、やや時間切れだったのですが、各グループともそれぞれ思いもよらない発見があったようです。中には、「やっぱり学びというより、そこでの人との出会い、もっと言えば飲み会が大事」という意見も。。。

KJ法の成果1

KJ法の成果-1 (注:大きなファイルです)

KJ法の成果2

KJ法の成果-2 (注:大きなファイルです)

KJ法の成果3

KJ法の成果-3 (注:大きなファイルです)

KJ法の成果4

KJ法の成果-4 (注:大きなファイルです)

KJ法の成果5

KJ法の成果-5 (注:大きなファイルです)

 

こうして成果を見てみると、ほぼ同じ性質のデータを基にしているのに、かなり違いますね。面白いです。

しかし、受講生の皆さんの集中力には本当に驚かされました。お疲れさまでした。

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カテゴリー:講義レポート

「発想法」 XB法のワークショップ

10月9日(土)の「人間中心デザインのための発想法」では、U’eyes Designのユーザエクスペリエンス研究所の三澤直加さんによる、XB法(クロスビー法)の講義・ワークショップでした。XBは、感動のメカニズムを利用し、ユーザに“感動”をもたらすエクスペリエンスのアイディアを発想する方法です。発想法の分類でいうと、強制発想法に位置づけられます。

XBカード今回のワークショップのテーマは、「本の贈り方をデザインしよう 『本のプレゼントサービスのデザイン』」です。

まず、XBの中心である感動メカニズムを持った「XBカード」が各グループに配布されました。このカードに示された枠組みごとに、個別にアイディアを出していきます。 XBカードには、3つのフレームがあります。「価値観」×「対象」×「体験」の3つです。たとえば、「価値観:ずっと追いかけてきた」×「対象:良質の○○」×「体験:自ら生み出した」のようなキーワードが提供されています。このそれぞれにアイディアを出してポストイットに書いてホワイトボードに張っていきます。

議論の様子

アイディアを出したら、ホワイトボードに張られた3つのフレーム毎のアイディア群から、インスピレーションで3枚選びます。そのキーワードの組み合わせを手がかりに、一つの感動シナリオを議論していきます。

次に、このアイディアのタネの中の一つを選び、具体的な製品やサービスのシナリオへとさらにアイディアを出していきます。最終的になシナリオを、簡単な紙芝居にしてプレゼンしていただきました。

アイディアをシナリオにして、それをビジュアルに表現します

とても魅力的なサービスアイディアがいくつも発表されました。特に、いまだ未婚の安藤(本プログラム担当教員)をペルソナにした婚活支援と絡めたサービスも飛び出し、発表のプレゼンは大いに盛り上がりました。

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東芝デザインセンター長による無料セミナー開催

産業技術大学院大学(AIIT)では、「デザインミニ塾」と称して、デザインやものづくり関連分野のトップランナーやなかの人をお招きし、都民の方に無料でご参加いただけるセミナーを毎月開催しております。

この10月は、現在、株式会社東芝 デザインセンターのセンター長を務めておられる、井上雅弘氏をお招きし、「企業におけるデザインの役割とその変化(仮)」と題してご講演を頂きます。

なお、11月は、先ほど「インフォグラフィックス」を出版されました、TUBE GRAPHICSの木村博之氏に、12月には、先日日本での家電製品の販売すると発表した、LG Electronicsの本社のデザイン担当者の方にもお越しいただき、ご講演いただく予定で調整中です。

なかなかインハウスのデザインセンター長に直接お話しを伺う機会は多くありません。これを機会にぜひ、ご参加ください。

開催案内

  • 日 時: 平成22年10月25日(月)  午後6時30分から午後8時まで
    ひき続き午後8時から1時間程度、交流会を開催します(勉強会のみの参加も可)
  • 会 場: 産業技術大学院大学 2階 展示コーナー
  • 講 師: 株式会社東芝 デザインセンター センター長 井上 雅弘 氏
  • 参加費: 勉強会は参加無料ですが、交流会費として、当日1,000円を申し受けます。
  • 申込み: お名前・交流会の出欠を明記したメールを下記アドレスに送信ください。
  • 送信先: opi[at]aiit.ac.jp
    [at]をアットマークに変換してください。

参考:

カテゴリー:AIITイベント, お知らせ

新しい講義始まる!

先週、山口さんによる「ユーザプロファイリング方法論」が終了しました。ユーザプロファイリング方法論では、最終的にペルソナとシナリオ、それに基づくユーザ要求分析までを行い、その内容を発表しました。今回のように、正しいペルソナづくりを体験しておくと、プロジェクトの必要に応じてどのような作り方をすればよいか、判断することも容易になると思います。また、ペルソナが本来持つべき要件もクリアになったのではないかと思います。ペルソナは人間中心デザインにとって重要なツールです。今後、ぜひとも実務でお役立て頂ければと思います。

さて10月に入り、この人間中心デザインのコースも新しい科目が2つスタートしました。1つは、安藤による「人間中心デザインの認知科学」です。もう一つは、専修大学の上平崇仁先生U’eyes Designユーザエクスペリエンス研究所の三澤直加さんによる、「人間中心デザインのための発想法」です。

「人間中心デザインの認知科学」は、人とモノとのインタラクションをより深く理解し、わかりやすく使いやすいと感じてもらうデザインのために不可欠な、人間の認知機能の基礎的理解と認知工学やユーザ工学における、ユーザモデルなどを学びます。この講義では、単に認知科学の基礎を学ぶだけではなく、その知識をデザインにつなげるための手がかりとして、『Design rule index―デザイン、新・100の法則』を副読本にしています。

10月1日の最初の講義では、「認知とは何か」、「知覚」についての講義でした。ギブソンのアフォーダンス理論については、ノーマンとの違いを説明しましたが、その理解をめぐって講義時間をオーバーするほどの議論が行われました。アフォーダンスは、HCD分野において、特によく用いられる概念です。それゆえ、ギブソンとノーマンの視点の違いには、知識として正しい理解をしておくことが望ましいと考えています。難しい議論なのですが、教える方ももっとわかりやすい説明ができるよう、修行を積まなくては、と思った次第です。

10月2日からは、「人間中心デザインのための発想法」がスタートしました。本コースは、ユーザ評価だけでなく積極的に新しい製品開発に関与するHCDのために、ユーザ調査やコンセプト開発に力点を置いています。なかでもこの発想法の講義は、これまで人間中心デザインでは扱われることのなかった内容です。しかし、ユーザエクスペリエンス(UX)の高い製品づくりのためには、HCD専門家自らが、柔軟な発想力を持ってコンセプト開発などに携わることが望まれます。そこでその基礎として、発想するための原理と方法を学んでいただくべく、この講義を設計しました。

10月2日は、専修大学の上平先生に「観念・発散技法・即興の原理」と題して、3コマ連続のワークショップを行っていただきました。今回は、頭脳活性化トレーニングとして、30Circlesなどを行った後、インプロビゼーション(即興劇)による創造性開発のワークショップを行いました。受講者からは、「体を動かすごとに頭が柔らかくなるのを実感しました」などの声も聞かれました。

そのあと、「即興的発想とデザインへの応用」と題して、インプロビゼーションを踏まえ互いに行為を演じたり観察したりしながら「持ち運ぶためのペーパーバック」のデザインに取り組んでいただきました。模造紙をチョキチョキ切って、簡単なペーパーモックを作ったのですが、久しぶりにやる工作を大いに楽しんでいたようです。

人間中心デザインというと、どうしてもユーザを対象にして調査や評価を行うことが多くなります。しかし、よいデザインのためには「発見」が大事です。その発見のためには、エスノグラフィなどのように現場に行って調査することも重要なのですが、さらに一歩進んで、自ら体を動かし、自ら発想することも重要だと考えています。

次回は、U’eyes Designの三澤さんによる、XB法(クロスビー法)のワークショップを行います。ご期待ください。

カテゴリー:講義レポート

ユニットII 「デザイン編」の願書受付中

今年度の、履修証明プログラム対応「人間中心デザイン」は、コースを3つのユニットに分割して実施しています。現在実施している、ユニットI 「基礎編」に続いて、ユニットII 「デザイン編」を実施します。デザイン編では、みなさん自身で人間中心デザインプロセスに沿って、新しいコンセプトの製品・サービスを考えていただく予定にしています。

「デザイン編」の願書の受付は、すでに開始していますが、ユニットIを受講されておらずユニットIIから受講を希望される方で、大学を卒業されていない方は、事前審査が必要です。事前審査が必要な方の願書の受付締切は、9月27日(月)までです。

また、ユニットIIから受講を希望される方の願書の受付は、10月8日(金)までです。締切にはくれぐれもお気を付けください。

なお、すでにユニットIを受講されている方も、ユニットごとの申し込み書は毎回提出が必要です。今週、来週の講義でお知らせしますが、手渡しでいただいても結構ですので、受講希望の方はあらかじめ必要事項を記入のうえ、お持ちください。

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人間中心デザイン概論 講義終了

ディスカッションの様子9月3日から始まった、この人間中心デザインのコースですが、金曜・土曜の集中講義のため、あっという間に時間が過ぎていきます。

9月18日(土)には、安藤が担当した「人間中心デザイン概論」全8コマが終了しました。人間中心デザインの歴史と理念、産業界での取り組み実態、それにユーザ調査を中心にした手技法の演習など、盛りだくさんの内容でした。

最終回の講義は、UX(ユーザ体験)に関する基本的な考え方を示すとともに、簡単さを実現するのがユーザビリティだ、といった誤解を認識することから、新しいユーザ体験のデザインが始まることなどをお話ししました。そのあと、総合討議として、みなさんからアンケート形式で集めた質問や実務での悩みを皆さんで議論しました。組織へのHCDの導入には、多くのみなさんが苦心されながらも、工夫して努力されていることがわかり、大変刺激になりました。

グループワークの様子一方、平行して行っている「ユーザプロファイリング方法論」では、ワークモデル分析を踏まえて統合モデルを作る段階に来たようです。各チームともポストイットを使って属性と行動を統合的にモデリングしていきます。この統合段階で、ペルソナをどこでわけて作るかも考えながら検討していきます。この日の最終段階では、ペルソナシートを作成するところまででした。

来週は、ペルソナを完成させたうえで、シナリオを作成する予定だそうです。チームでの作業で、かつ宿題もあるようで大変ですが、ぜひ頑張ってまいりましょう。

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人間中心デザイン概論:エスノグラフィックアプローチ

今日は、安藤の「人間中心デザイン概論」の5~6回目です。ユーザ調査の方法論の概要を学ぶ回ですが、ここではBeyerとHoltzblattの「Contextual Design」を例に、ユーザ要求を獲得するための調査法および分析法の概要を学びました。

その中で、昨今注目を集めている、エスノグラフィックアプローチについて、その要点を学びました。特に、ユーザ調査で重要となるのは、安藤が提唱する「ユーザモデリングの3階層」に従い、ユーザ要求の獲得に不可欠な、3種類の情報、つまり「属性層」、「行為層」、「価値層」を、どう集めるかがポイントになります。エスノグラフィックアプローチでも、いわゆる行動観察は、あくまで行為層を見ているわけです。もちろん、行為を観察することで、対象者の生活価値を見出すことができます。ただ、観察だけでは十分「価値」の情報まで得られるわけではありません。観察と他の方法を組み合わせて調査することで、「行為層」「価値層」の双方の情報を得られ、それらのギャップから重要な洞察を得ることができます。

ただし、人間中心デザインでは、プロジェクトの目的に応じて、必要な情報を得られる手法を適用すべきであり、いつもエスノグラフィックなアプローチが妥当であるわけではありません。人間中心デザインの専門家は、様々な方法論を身につけ、プロジェクトの目的にふさわしい手法を適用できるスキルが求められます。

講義では、Contextual Inquiryの応用手法である、人工物ウォークスルーをさらに応用したコンテキスト・インタビューを演習しました。また、5分間の観察ビデオを見ることで何を見出すことができるかを練習するミニ演習も行いました。

かなり短時間での詰め込みになってしまいましたが、手法の概要だけでも知っておくことが重要です。

来週も、Contextual Inquiryの続きと、そのデータを用いたKA法の方法を説明します。

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